配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2016年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2015年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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研究実績の概要 |
現在, メタンの直接酸化を行う触媒の開発が急務となっている. この目的のため, 四座配位子もしくは五座配位子を有する窒素含有鉄オキソ錯体が合成されており, この錯体におけるアルカン酸化反応に関する研究が行われている. しかし, アルカンの酸化反応を制御する因子に関する情報は得られていないのが現状である. そこで本研究では, 四座配位子もしくは五座配位子を有する窒素含有鉄オキソ錯体によるアルカン酸化反応のプロセスを解明するとともに, C-H結合活性化における速度論的同位体効果(KIE)に関する知見を, 密度汎関数法 (DFT) 計算の立場から得た. さらに, キノリン環の5位に置換基を導入したDPAQ(R)錯体 (R = NO2, H, OCH3) を用いて, アダマンタン, およびメタンの酸化反応のプロセスにおける置換基依存性を調べた. DFT計算の結果, 置換基の電子供与性効果が大きいものほど, アダマンタン, およびメタンのC-H結合は容易に活性化することがわかった. これは, 電子供与性効果が期待できる置換基を導入させることで, アミド基からの電子供与が増大することにより, 高原子価である鉄を安定化させるためであると考えられる. また, C-H結合活性化におけるKIE値の算出をしたところ7.4-14.4であり, 遷移状態の構造が始原系 (生成系) に近いほど小さい (大きい) KIE値をとることが明らかになった. また, オキソ種によるC-H結合の切断における活性化エネルギーを算出する簡便な関係性を見出すことに成功した。この関係性を, ゼオライト内部の活性種やその他の酸化物に適応することによって新規触媒の探索が可能となった.
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