配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2016年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2015年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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研究実績の概要 |
本研究は、ニッケル-炭素結合機能の詳細解明と、高効率なニッケル触媒開発を目指す。本年度は、昨年度に見出したビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II) (1) を触媒とするニトリル類のヒドロホウ素化の詳細解明に取り組んだ。0.5mol%の触媒1存在下、種々のアリール基を有するニトリル化合物のヒドロホウ素化が室温で速やかに達成され、定量的に対応するジヒドロホウ素化体が生成することを明らかにした。触媒1の類縁体として、bis(hexafluoroacetylacetonato)nickel(II) (2) and bis(2,2,6,6-tetramethyl-3,5-heptanedionato)nickel(II) (3)を用いても同様に反応が進行したものの、電子求引性のトリフルオロメチル基を有する触媒2は、若干活性が低いことがわかった。アルキルニトリル類のヒドロホウ素化は、3-5mol%の触媒1を用いることで進行し、高選択的に対応するヒドロホウソ化体が得られた。 別途実験により、触媒3は室温でヒドロボランと反応し、容易に支持配位子が脱離することがわかった。以上の実験結果から、現段階では、触媒1-3はヒドロボランとの反応により触媒活性なニッケル(0)種へと変換されるものと考えている。 ニトリル類のヒドロホウ素化反応は、アミン合成を指向した新しいニトリル類の還元手法として注目されている。一方で、本反応の触媒としては、合成の煩雑なモリブデン、ルテニウムおよびマグネシウム錯体が知られるのみであった。本研究において、入手容易および安価な1-3が効率よくニトリル類のヒドロホウ素化を触媒することを見出した点は極めて興味深い結果と言える。
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