公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
宇宙における物質の数と反物質の数との差、つまり宇宙バリオン数の起源の解明を目指し、新しい素粒子理論の枠組みを検討した。特に、素粒子標準模型に、電弱スケール以下の質量をもつ「軽い右巻きニュートリノ」を新たに導入した拡張理論を考察した。この模型の特徴は、宇宙バリオン数の起源だけでなく、ニュートリノ質量起源も同時に説明できる点である。さらに、新粒子の質量が軽いために、実験検証が可能という特徴も持つ。本課題ではこの「軽い右巻きニュートリノ」が引き起こすレプトン数を破る現象を研究した。今年度の研究成果の一つとして、「軽い右巻きニュートリノ」が引き起こすニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊が上げられる。この崩壊過程はレプトン数をふたつ破る過程であり、標準模型では禁止される。そのため、新物理発見のための重要な反応である。我々は、この過程に対する「軽い右巻きニュートリノ」の寄与を定量的に評価し、その質量が500MeV程度の場合には通常のマヨラナニュートリノに対し付加的な寄与を与え、崩壊を加速させることを示した。この成果は、今後のKamLAND-Zen実験等での観測可能性が高くなることを示しており、幅広い分野に重要なインパクトを与えた。また、B中間子のレプトン数を破る崩壊過程についても研究成果がある。この過程は、中間状態に「軽い右巻きニュートリノ」が媒介することにより生じる。我々は、この過程の反応率を定量的に評価し、今後のBelle-II実験、およびFuture Circular Collider(FCC)計画での測定感度を求めた。その結果、これらの実験計画で検証可能性がある事を指摘した。特に、FCC計画では右巻きニュートリノの混合角の大きさとして千分の一程度まで検証可能であることを示した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
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