配分額 *注記 |
6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2016年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2015年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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研究実績の概要 |
Ti-20Ta合金中のTa近傍局所構造解析のため,蛍光X線ホログラフィー実験をSPring-8のBL13XUビームラインにて室温で行った. 浮遊帯域溶融法で作製したTi-20Ta合金インゴットを円板状にスライスし,Arガスを満たした透明石英管内に封入し,均質化を850℃で48時間行った後,300℃で168時間熱処理を行った.別途同じ組成の多結晶試料を作製してX線回折実験を行い,この熱処理でTi-20Ta合金がほぼβTi単相となることを確認した. 蛍光X線ホログラフィー実験では,入射エネルギーは10.5keVから13.5keVまで0.5keVステップの7種類を用いた.ホログラムの測定には Ta Kα線を用いた.β相を構成する3種類の{111}原子面を積層順にA, B, C, A', B', C', A''...とする.このうち,BとC,B'とC'の一部が±1/12<111>だけ変位してそれぞれの中間位置に原子面MならびにM'を形成することによりω相が生じると考えられている.そこで,Ti-20Nb合金と同様に,Ta近傍の局所構造をβ相の{111}面とならびに相の(0001)面と平行な面で原子像を再生した. 原子面A, A', A''は概ね理想的な位置に原子像が再生された.B, M, C, B', M', C'の原子面はTi-20Nb合金と比較して,原子位置が理想的な位置から面内で変位した様子が観察された. Ti-20Nb合金ではNbに最寄りの原子面Cの一部がω相生成時に原子面Mに変位せずにβ相の構造を保つ傾向があることを昨年度明らかにしたが,Ti-20Ta合金では原子面CからMへの変位が生じていた.つまり,Ti-20Ta合金中のTa近傍ではβ相だけでなくω相の構造も取り得ることから,β相安定化元素としての効果はNbより低いと言える.
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