公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、人工的に作成されたヒドロキシアパタイト粉末をアルドリッチから購入して、化学反応実験に使用した。反応は水中で行われた。反応生成物は、その構造として水酸基が多数現れると予想されたため、反応後に無水酢酸で処理してから、構造解析された。その結果、80℃、128時間の加熱により、ヒドロキシアパタイト粉末存在下でホルムアルデヒドとグリコールアルデヒドから、微量ではあったが、0.28%の収率でリボースを得ることができた。ホルムアルデヒドとグリコールアルデヒドからリボースが生じる反応を、各反応段階で精査すると、リボースへ至るまでの副生成物の生成に関わる多くの情報を得ることができた。(1)ジヒドロキシアセトンに至る高効率反応:最初の段階である、ホルムアルデヒドとグリコールアルデヒドの縮合によるグリセルアルデヒドの生成とそれに続くジヒドロキシアセトンへの異性化は、速やかに進行し、定量的にジヒドロキシアセトンを生成した。(2)リブロースへ至る熱力学的な反応:ジヒドロキシアセトンは、もう1分子のグリコールアルデヒドと縮合し、リブロースおよびキシルロースを与えた。これら2つの構造異性体の生成比率は、加熱温度や反応時間によって制御された。80℃、120時間を超える反応時間を経ることによって、リブロースが選択的に生成した。反応温度が60℃で反応時間が短いとキシルロースの生成が大きく高まった。(3)好気性条件での酸化物の生成:加熱条件下、反応時間が長くなると、ギ酸などの糖酸化分解生成物が観察された。特にリブロースの選択的生成を目指した反応系中では、長時間の反応の後、1H NMRで反応をモニターしたところ、ギ酸特有のNMRシグナルが観測された。リブロース生成において、基質の変換率が高い割にはリブロースの収率が高くならないのは、このような糖酸化分解反応が競争的に起こるからであると考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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