配分額 *注記 |
8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2016年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2015年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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研究実績の概要 |
本研究では、ペプチドが本質的に持っている凝集特性及びその金属配位能に着目し、触媒活性や反応場としての機能性解明から、ペプチドや簡単なタンパク質をベースとする初期段階生命の形状や機能にアプローチし、当該領域がめざす「冥王代生命学」に新たな切り口を提案する。特に申請者は冥王代において比較的簡単に合成される小さなペプチドと金属イオンの接合による錯体触媒の存在が科学進化を大きく前進させたと考える。 本年度では、昨年度達成したβ-sheet構造を持つ小さなタンパク質と第三周期の遷移金属(V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn)だけでなく第四、五周期の重い遷移金属(Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Pt)を結合させた錯体の結晶構造解析に成功した。その結果、白金族金属でもタンパク質と明確に錯体化することが分かった。冥王代において熱水等の極限環境における溶存金属の分布は我々の住んでいる温和な環境とは全く異なると考えられることから、様々な金属と化学進化において現れたであろう、ペプチドやタンパク質がこれらの金属と錯形成していた可能性を示唆するものであった。また、アミロイドタンパク質などに見られるコア配列(LVFFA)の末端にAsp, Glu, Hisなどを結合した6-9残基のペプチドを用いるとアミロイド形成が見られた。さらにこのアミロイド形成は二価の銅イオン添加により、立体選択的にマイケル付加反応を促進することが分かり、安定なペプチド凝集体が触媒となりえることを示した。
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