配分額 *注記 |
7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2016年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2015年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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研究実績の概要 |
前年度までに再構成した、触媒活性を保持した安定なアミノ酸組成単純化型改変体とは異なる13アミノ酸種から合成したNDK、12アミノ酸種から合成したいくつかのNDKを再構成した。新たに再構成した改変体のいくつかは、60~70℃まで安定であったが、触媒活性が検出できなかった。 次に、化学進化実験、隕石中のアミノ酸の分析から提案されてきた、初期地球環境に比較的豊富に存在したと推定されているアミノ酸と、活性と安定性を保持したNDKの合成に必要な少数アミノ酸種を比較した。その結果、活性を保持した2種類のアミノ酸組成単純化型NDKに共通して含まれる11アミノ酸種のうちの8種類が、非生物的に合成されやすいアミノ酸、または、隕石中から発見されたアミノ酸と一致した。 1アミノ酸種を完全に欠損させた、19アミノ酸種から構成されたTrpF改変体の遺伝子を用いてTrpF欠損大腸菌の栄養要求性の相補実験をおこなった。その結果、20種類のアミノ酸のうちのAla, Gly, Ile, Lys, Pro, Valのいずれかを欠損させると、TrpF欠損大腸菌のトリプトファン要求性を相補できず、活性を持ったTrpFを合成できないことが示された。この6アミノ酸種は、Lysを除いてMillerによる非生物的有機物合成実験で合成が確認され、さらに、隕石中からも発見されたアミノ酸と一致した。この結果も、初期地球に存在したと推定されるアミノ酸が、機能を持ったタンパク質の合成に重要であることを示した。また、今後の研究において、コンビナトリアル進化工学により、非生物的に合成されやすいか、あるいは、隕石中から見つかっている、原始地球環境に相対的に多く存在したと予想されるアミノ酸だけから活性を保持したTrpFを再構成するため、TrpFの発現に用いるベクターの選定、タグの選定とタグを付加する位置の検討をおこなった。
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