配分額 *注記 |
8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2016年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2015年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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研究実績の概要 |
ゲノム中に分布するtRNA遺伝子の動態について研究を行った。発端はtRNAがゲノム進化上もっとの古い分子であるとの発想に基づく。以下のような発見があった。 1)tRNA遺伝子はゲノム中にランダムに分布しているのではなく、20%弱のtRNA遺伝子はクロマチンのボーダーに存在する。tRNA遺伝子の存在がヘテロクロマチンの侵入を防ぐ役割を担っている可能性がある。 2)約半数のtRNA遺伝子には、大量の転写因子が結合していることが明らかになった。これは細胞特異的な現象ではなく、どの細胞にでも見られる一般的な現象である。結合する転写因子は以下のようなものがある。TF3C, POLR2A, MYC, TBP, MAX, JUNED, RCOR1, PHF8, TAF1などである。PoLII転写に関わる因子のほかガン遺伝子なども見ることができる。 3)この多量の転写因子の結合は、5’側と3'側でどちらかに偏っているということはなく均等に両側に結合が観察された。遠ざかるにつれて、転写因子の結合は著しく減少するので、これはtRNA遺伝子に特異的な現象である。 4)TF3Cが結合する領域がトポロジカルな遺伝子調節のハブになっているという仮説があるので、TF3Cの結合サイトを三つに分類しその頻度を分析した。tRNA領域内(222件)、ETCSINE領域内 (235件)、ETCnon-SINE領域内 (53件)。このデータからわかることは、約半数のtRNA遺伝子は多量の転写因子を結合することで、インシュレーター機能を含むゲノムのトポロジカルな遺伝子調節のハブになっている可能性があるということ。またtRNA遺伝子ばかりでなくほぼ同数のSINE遺伝子もETCとして同様の役割を担っている可能性があるということが示された。 5)いくつかのtRNA遺伝子中にはCTCFの結合サイトが存在することが示された。
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