公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
加齢に伴ってナイーブ T細胞の割合が減少してmemory phenotype (CD44hi CD62Llo) T細胞の割合が増加してくるが、CD44hi CD62Llo T細胞の中にPD-1とCD153を細胞表面に発現したユニークな集団が加齢と共に増加してくる。CD153+ PD-1+ CD44+ CD4 T細胞は、増殖能力や通常のT細胞サイトカインの産生能が低下しており、その代わりに、大量のOPNを産生する。細胞老化の特徴を兼ね備えていることからsenescence-associated T (SA-T) 細胞と命名された。SA-T細胞は自己抗原反応性の細胞でB細胞依存性であり、SA-T細胞の蓄積が、免疫老化、すなわち、加齢にも伴う獲得免疫能の低下、全身性炎症反応、自己免疫疾患発症リスクの増大、の原因となっていると考えられる。我々は、CD153+ PD-1+ CD44+ CD4 T細胞が、内臓脂肪の蓄積に伴って若齢マウスの内臓脂肪組織中に出現、PNの産生を介して、内臓脂肪の蓄積に伴う内臓脂肪組織の慢性炎症や代謝異常(インスリン抵抗性)の起点となっていることを証明した。この細胞が、加齢に伴って2次リンパ組織中に出現するSA-T細胞と機能的にも遺伝子発現パターンからも非常に類似している細胞であることから、CD153+ PD-1+ CD44+ CD4 T細胞が加齢と肥満に共通に観察される免疫老化の表現型の鍵を握る細胞であることが示唆された(Shirakawa K, Sano M, Obesity accelerates T cell senescence in murine visceral adipose tissue. J Clin Invest. 2016 Dec 1;126(12):4626-4639)。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Clin Invest.
巻: 126 号: 12 ページ: 4626-4639
10.1172/jci88606