公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
前年度得られた結果を踏まえ、IL-22BP欠損マウスの表現型解析を行った。野生型マウスではIL-22を投与してもパイエル板上皮細胞層(FAE)においてIL-22シグナルは活性化されないが、IL-22BP欠損マウスではFAEにおいてもIL-22シグナルが活性化する。そこでIL-22BP欠損マウスおよび陽性対照マウス(IL-22BPヘテロ欠損マウス)よりFAEを採取し、遺伝子発現を比較した。M細胞関連遺伝子やFAEマーカー遺伝子の発現に目立った変化は見られなかったが、IL-22シグナルの標的遺伝子であるMuc3、Reg3gやFut2の発現がIL-22BP欠損マウスFAEにおいて亢進することが確認された。これらの遺伝子は細菌抗原に対して防御的に作用する分子の発現を調節する。そこでこれらの遺伝子の発現がパイエル板への細菌抗原の取り込みを阻害すると仮定した。M細胞を介してパイエル板へ取り込まれるネズミチフス菌(S. typhimurium)のパイエル板への取り込みを調べたところ、パイエル板へ取り込まれる菌数がIL-22BP欠損マウスでは減少する傾向がみられた。またパイエル板常在菌であるAlcaligenes spp.のパイエル板内の菌数も減少することが観察された。これらの結果からIL-22BPによってFAEのIL-22シグナルが阻害され、FAEにおけるMuc3、Reg3gやFut2の発現が抑制されることがパイエル板への抗原取り込みを円滑にしていることが明らかとなった。本研究によって生体内におけるIL-22BPの役割、またパイエル板への抗原取り込みの調節機構が新たに明らかとなった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Experimental Medicine
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