公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
細胞板形成は、フラグモプラストと呼ばれる分裂装置の中で細胞壁と細胞膜とが同期して作られる複合的なイベントである。我々は、細胞板の形成にNACK1キネシンを活性化因子とする植物固有のMAPKカスケードが必須であることを明らかにしている。さらに、MAPKカスケードの活性化因子であるNACK1は、モータータンパク質として細胞板成分の輸送にも関与している可能性を示唆するデータが得られている。本研究では、細胞板形成の分子機構を明らかにするために、1) 本MAPKの新規下流因子の同定及び機能解析、2) NACK1キネシンが細胞板に輸送している因子の同定を行った。1) 細胞板形成を制御するMAPKカスケードの下流因子の同定と機能解析シロイヌナズナ培養細胞から精製した微小管結合タンパク質を基質として、MPK4によりリン酸化されたタンパク質の質量分析を行い、55個の基質タンパク質の候補の同定に成功した。これらの候補因子について、同調培養したMM2d細胞より合成したcDNAを用いて発現パターンを解析したところ、複数の遺伝子が分裂期に特異的に発現上昇すること、細胞分裂時に細胞板、もしくは細胞質分裂装置に局在することが明らかとなった。このような特徴を示す6因子を、MPK4の新規下流因子の重要候補として機能解析を進めている。これら分子機能の解明により複合的な細胞板形成の分子機構が明らかになることが期待される。2) NACK1の輸送キネシンとしての機能昨年度までに、NACK1が特定のSNAREタンパク質にマークされる小胞の輸送に関与していることが示唆される結果が得られていた。このSNARE因子のシロイヌナズナの変異体解析を行ったところ、ファミリーを形成する本因子の多重変異体で、特定の細胞において細胞質分裂の異常が観察された。これらの結果から、本因子にマークされる小胞は、NACK1依存的に細胞板形成部位に輸送されること、この小胞は細胞板形成に寄与していることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件)
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