公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
植物は独立栄養生物であり、土壌の無機成分のみで生育することができる。土壌の無機栄養細胞壁を含む空間であるアポプラストを通じて輸送される。アポプラストを通過する間に栄養の組成が変化したり、細胞内の栄養濃度に影響するなどして、細胞壁は栄養の全体的な輸送に影響を及ぼす。その一方で、栄養は細胞壁に影響を及ぼす。本研究はその相互作用の一端をカルシウムを中心に明らかにすることを目的とし、低カルシウム感受性と細胞壁組成の関係、およびカルシウム輸送と細胞壁の関係の二つの側面から研究を進めている。いずれの研究もシロイヌナズナの低カルシウム感受性変異株の解析が中心的な研究手法である。本年度は複数のカロ-ス合成酵素の欠損する変異株について、遺伝子発現の網羅解析を行なったところ、この変異株では培地にカルシウムが十分ある条件であっても、野生型の植物がカルシウム欠乏にさらされた時に示す遺伝子発現パターンを示していることが明らかになった。カロース合成がカルシウム欠乏に対する応答にも関与していることを示唆している。また、昨年度原因遺伝子を同定したカルシウム輸送やスベリンの蓄積に異常のみられる変異株について、スベリンの蓄積を分解酵素の導入によって抑制したところ、カルシウムの輸送や側根発生の異常が回復した。このことから、スベリンがカルシウム輸送や側根発生に重要な役割を持っていることが示唆された。また、スベリンは側根の発生部位にも蓄積しており、それが側根発生部位の中心柱への物質流入を妨げる役割があることも明らかになった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)
Current Biology
巻: 27 号: 5 ページ: 1-8
10.1016/j.cub.2017.01.030