配分額 *注記 |
8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2016年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2015年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
|
研究実績の概要 |
不可逆的に進行する木部分化の制御においては、リガンドTDIFと受容体TDRを介したシグナル伝達が中心的な働きを担っている。TDIFとTDRの相互作用に関して、立体構造を決定し、CLEペプチドと受容体の結合様式を明らかにした(Morita et al., 2016, Nat Commun)。これらTDIF-TDRのシグナルはGSK3キナーゼを介してBRシグナルと統合され、最終的に転写因子BESIへと伝えられる。実際に、維管束分化誘導システムVISUALを用いた遺伝学的解析からも、BES1が木部分化を制御することが支持された。更にBES1/BZR1ファミリーの多重変異体を用いた解析をすすめ、新たにBES1と冗長的に働くホモログを2つ、そしてBES1と反対の機能をもつホモログを1つ明らかにした。これらの発見は、木部分化の制御が転写因子レベルにおいても厳密に制御されることを意味している。 また木部分化だけではなく、このVISUALにおいては篩部分化が誘導されることが明らかとなった(Kondo et al., 2016, Plant Cell)。VISUALに関して、プロトコールを分かり易くまとめ直し、日本語・英語での公開をおこなった(Kondo et al., 2016, Plant Cell; Saito et al., 2017 Methods Mol. Biol.)。実際に、VISUALを用いた多点経時トランスクリプトームデータを基に篩部分化過程の遺伝子共発現ネットワークを構築し、運命制御・分化制御に関わる遺伝子群をそれぞれ明らかにすることができた。今後はVISUALをベースに様々な技術を組み合わせることで、これまで明らかにされてこなかった篩部分化制御の理解が進むと期待される。
|