公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
我々はマウスAPOBEC3(mA3)が同種由来レトロウイルスに対する生理的抵抗因子で、系統間に多型があることを世界で初めて示した。現存抵抗性系統はタンパク質高発現となるエキソン5欠損型(Δ5)を持つが、齧歯類野生種の解析から、祖先型はΔ5で、現存感受性系統の祖先がタンパク質低発現となるエキソン5を獲得したことが明らかとなった。エキソン5獲得種のゲノムには異種指向性レトロウイルス(XMV)の組込みが無く、多指向性ウイルス(PMV)の組込みが多いが、Δ5を保つ種ではXMVの染色体組込みが多い。本研究では、齧歯類APOBEC3の多型形成における進化圧は異種由来レトロウイルスであったとの仮説に立ち、PMVがエキソン5獲得型で制限出来、XMVの複製制限にはΔ5が必要であることを検証した。今年度は、XMVにもPMVにも感受性のMus dunni細胞にmA3の各対立遺伝子を導入して、安定発現細胞株を樹立し、これらにXMV分子クローンを導入後、上清中のウイルス感染価を比較定量した。ミンク細胞またはMus dunni細胞を標的とした抗体による感染細胞フォーカス検出は、XMVに対して十分機能しないことが明らかとなったので、古典的なS+L-ミンク細胞株トランスフォーメーションフォーカスの検出を試みたところ、上記遺伝子導入Mus dunni細胞上清中のXMV感染価が定量可能であった。また、この系に特異抗体によるウイルス被膜抗原の染色も加え、形成されたフォーカスがXMVの感染によるものであると確認した。確立した実験系を用い、XMVの感染価に対するmA3の影響を比較したところ、予想通りΔ5型はXMVの複製を抑制でき、エキソン5獲得型にはXMV複製抑制効果が殆ど無かった。同一の系を用いて、PMVがエキソン5獲得型で制限できるか否かを検証中であり、当初目的がほぼ達成された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
Gastroenterology
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