公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究は宿主遺伝子多様性へのウイルス適応機序の解明を目指し、ウイルスと宿主の相互作用が長期に渡り継続し病態形成にいたるHIV慢性持続感染症を対象として、ウイルス感染・伝播におけるウイルス変異蓄積および病原性変化の機序を知ることを目的とした。特にHIV感染病態に大きな影響を及ぼすMHC遺伝子型に着目し、ヒトHIV感染を最もよく反映するSIV感染サルモデルでの伝播実験におけるウイルスゲノムおよび病原性の変化を解析することとした。平成25-26年度の本領域公募研究に、低ウイルス量と相関するprotective MHC-IハプロタイプA陽性サルから、A陰性サル2代を経た3代に渡る経静脈SIV伝播実験を行い、伝播に伴いウイルスゲノムに細胞傷害性T細胞(CTL)逃避変異が蓄積することを明らかにした。本研究(平成27-28年度)では、伝播実験で得られた3代伝播SIVのin vitroおよびin vivoでの複製能の解析を進めた。平成27年度には、次世代シークエンサーを用いたウイルスゲノムの解析で、伝播に伴う詳細な変異蓄積パターンを明らかにし、さらに3代伝播SIVのin vitroでの複製能が野生型と比較して低下していることを明らかにした。平成28年度には、in vitro複製能の低下した3代伝播SIVのin vivo複製能についての詳細な結果を得た。まず、MHC-IハプロタイプA陰性サル6頭における3代伝播SIV感染実験で慢性持続感染が成立することを確認した。一方、MHC-IハプロタイプA陽性サル6頭における3代伝播SIV感染実験では、野生型SIVと比較して、有意に高いセットポイント期の血漿中ウイルス量および有意に早い病態進行を示した。本研究結果は、HIV・SIVの伝播の積み重ねに伴い、ウイルスがin vitro複製能を犠牲にしながらもCTL逃避変異を蓄積し、protective MHC-Iに対する感受性を失っていく方向に進化していく可能性を示す根拠を提供するものとして重要である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 7件、 招待講演 6件)
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