配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2016年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2015年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
研究実績の概要 |
高等植物の細胞膜近傍ではアクチン繊維が細胞膜に沿って配向し, その極性もほぼそろっているので,小胞体に結合したミオシンは配向と極性が揃ったアクチン繊維に沿って一定の方向に動くことができ,それにより細胞内において方向をもった大きな流れ(原形質流動)がおきている。細胞膜に沿ってアクチン繊維が一定の極性をもって配向するのはどのような機構によるのであろうか?その有力なモデルとして,ミオシンとアクチン繊維の相互作用により自律的にアクチン繊維が極性を揃えて配向し,運動超分子マシナリーである原形質流動装置が構築されるモデルが有力となっている。このモデルを検証するために,植物細胞を模した幅,深さ,直径がそれぞれ10 um, 10um, 100 umのリング状のPDMS基板を作成した。基板にシロイヌナズナのミオシンを結合させ,そこにシロイヌナズナのアクチン繊維, ATPを入れたところ,アクチン繊維の濃度が細胞内と同程度(~0.5mg/ml)のときは,リングに沿ったアクチン繊維の運動が見られた。しかし,その方向は両方向にほぼ均等で,1方向性の運動は見られなかった。次に,細胞内においては,アクチン繊維は束化しているので,アクチン繊維を束化させた。メチルセルロース処理によるエントロピー効果により束化させた。メチルセルロースだけではアクチン繊維を束化するが,極性を揃えることができなかった。また,このアッセイをリング状の基板でなく平面状の基板でおこなったときは,束化したアクチン繊維内のアクチン繊維の極性はランダムとなり,一方向性の運動はおこらなかった。しかし,リング状基板内でアクチン繊維を束化させ,ミオシンと相互作用させたところ,驚くべきことに,束化が進むにしたがって運動方向の非対称が増幅されていき,アクチン繊維の方向が偏っていき,最終的に一方向性の運動がみられた。
|