公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
Caspase-11依存的なパイロトーシスの誘導には、GBP2依存的なグラム陰性菌の膜破壊が重要である。膜破壊のモデルとして寄生虫であるトキソプラズマを使用した研究は重要な知見をもたらす。ヒトには主にトキソプラズマが感染している肉を加熱不十分で食することによって感染し、エイズや抗癌剤治療下にある免疫不全患者に致死性の脳症や心筋炎を引き起こす他、妊婦が初感染すると流産または新生児の先天性疾患の原因になり、わが国でも症例数が増加している。トキソプラズマに対してわれわれ宿主はインターフェロン ガンマに依存した免疫反応を起こし対抗するが、その免疫反応がどのように抑制されているのかについては全く不明であった。本研究で、インターフェロン ガンマによって誘導されるトキソプラズマを破壊する免疫反応が、宿主からRabGDIαを取り除くことによって著しく増強され、その結果、トキソプラズマ原虫数が少なくなること、高力価トキソプラズマ感染でも、RabGDIα欠損マウスは生存率が高く、致死的な脳症の程度が軽いこと、RabGDIαに存在する脂質結合ポケットが、そのブレーキ機能に必須であることを示した。本研究成果は、RabGDIαの機能を阻害することによってトキソプラズマに対する免疫機能が大幅に増強し、トキソプラズマ脳症の重症度が改善されたことから、近年我が国においても症例報告が急増しているトキソプラズマ症に対して、RabGDIαという新たな分子を標的とした新規治療戦略を提供できる。さらにRabGDIαがCaspase-11依存的なパイロトーシスの誘導の負の制御因子である可能性も示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cell
巻: 167 ページ: 382-396
Cell Rep
巻: 13 号: 2 ページ: 223-233
10.1016/j.celrep.2015.09.005
120007001422