公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究は、組織幹細胞の中でも特に老化しにくいとされる精子幹細胞をモデルとして、生理的な加齢条件下での、マウス精子幹細胞の挙動の加齢変化を明らかにすることを目的とした。具体的には、①幹細胞の不完全分裂(不完全な細胞質分裂によって細胞分裂後も各細胞が連結したままとなる分裂様式)と合胞体(不完全分裂の結果生じる複数の細胞が連結した構造体)の断片化(細胞間架橋が千切れて合胞体が短くなる現象)の頻度、および②幹細胞から分化した細胞の脱分化の頻度、の2項目の加齢変化を検証する事を計画した。昨年度(H27)は、①を検討し、マウス精子幹細胞の合胞体の断片化頻度が加齢に伴って上昇することを示唆する結果を得た。この加齢変化は、幹細胞として機能する合胞体の数を増やす役割を果たすため、加齢に伴う精子数減少を食い止める新現の抗老化現象となる可能性が考えられた。一方、本年度(H28)は、②を検証するため、分化細胞の脱分化による幹細胞の補充が加齢に伴って増加し、精子形成維持に寄与しているという仮説をたて、解析を進めた。若齢(3か月齢)および加齢(14~19か月)のNgn3-CreER;CAG-CAT-GFPマウスを用いて、Ngn3陽性の分化細胞の運命を数日~数十日間追跡し、GFRα1陽性に逆戻りする頻度を解析した結果、加齢に伴った逆戻り頻度の変化は認められず、仮説は棄却された。以上、H27,H28の研究から、精子幹細胞の合胞体断片化頻度の加齢変化が明らかになった。今後、加齢変化を生み出す分子メカニズムの解明と同機構破綻の影響の解明が期待される。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
Stem Cell Reports.
巻: 8 号: 3 ページ: 561-575
10.1016/j.stemcr.2017.01.006
120005997826
Journal of Reproduction and Development
巻: 62 号: 4 ページ: 409-414
10.1262/jrd.2016-055
130005406820
PLoS One
巻: 11 号: 11 ページ: e0167127-e0167127
10.1371/journal.pone.0167127
Development
巻: 142 ページ: 1582-1592
10.1242/dev.118695