公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
N末端アセチル化は翻訳途上の新生ポリペプチド鎖(新生鎖)を基質としており、生物種を超えて保存された基本的な機構である。ヒトでは全タンパク質の80%以上がN末端アセチル化を受けており、汎用性の高い修飾反応であるが、その生理的意義は未だ多くの謎に包まれている。これまでの研究で、出芽酵母のN末端アセチル化酵素NatAの欠失変異体において、選択的ミトコンドリア分解「マイトファジー」が強く抑制されていることを見出した。本研究の目的は、NatAやその基質タンパク質がいつ・どこで・どのように、ミトコンドリアの機能やマイトファジーに関与しているかを明らかにすることである。NatA欠損細胞ではマイトファジーが強く抑制されるが、その一因として、マイトファジーの必須因子であるAtg32の発現レベルがNatA欠損細胞では低いことがある。このことから、Atg32の発現量変化がマイトファジーの促進や抑制に作用していることが考えられる。そこで、Atg32の発現制御について詳細な解析を試みた。その結果、Atg32の検出バンドの上部にスメアなシグナルが検出された。タンパク質の分解制御はオートファジーの他にプロテアソームによる制御が広く知られており、分解対象のタンパク質がユビキチン化を受けることでプロテアソームに認識され、分解される。そこで、Hisをタグ付けしたAtg32と、mycをタグ付けしたユビキチンを発現している細胞を用い、変性条件において2段階のアフィニティ精製を行った。結果として、溶出サンプルからAtg32が検出された。よって、Atg32がユビキチン化を受けていることが明らかとなった。加えて、対数増殖期の細胞をプロテアソームの阻害剤であるMG132で処理すると、Atg32の発現量低下が抑制された。よって、プロテアソームがAtg32の分解に関与していることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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