公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
我々は、昆虫が潜在的に備えているバリアー能を模倣・利用するという新しい視点から革新的電子顕微鏡技術(NanoSuit法)の開発に取り組んできた。既にこの方法を五界説で示される原核生物、原生生物、菌類、植物、動物に適用し、従来のものとは全く異なる画像を得ている。本研究ではこの技術を展開し、アリ・クモ・セミ・ハムシ・雪虫などの、頭部、脚先、感覚器等に注視し、多様な昆虫の表面の網羅的データ化を行ない、これまでに報告されていなかった表面構造を明らかにした。これらの成果は今後、論文および書籍として発表する。さらにNanoSuit法に、エネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析法を組み合わせて、これまで誰も成し得なかった生体の超微細構造を壊すことなく、生きたまま・濡れたままの状態で元素分析することにも成功した。また我々は、切除したばかりの昆虫の組織をFE-SEM内で含水状態のまま観察する為に、昆虫の体表面物質を規範とし、グリセリンなどを主成分とするSurface Shield Enhancer(SSE)の開発に成功した(国際出願番号PCT/ JP2015/052404)。切り出した組織を、何も処理することなくそのまま高真空に曝すと重量は60%ほど減少する。これに対し、新規SSE溶液で処理しNanoSuitを形成させると、減少率は10%未満となり高いバリア能を発揮することが示唆された(Takaku et al, 2017他)。このように、多様な生物試料を含水状態のままFE-SEMで観察・解析することに成功したが、本研究ではさらに、人工物のゲルをNanoSuit法で保護する技術開発を行なった。水の凝集力を高める生物の仕組みを規範とし、NanoSuit形成用の新規溶液を作成し、人工物のゲルの濡れたままの観察を可能とした(論文作成中)。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 図書 (2件) 備考 (1件)
R Soc Open Sci
巻: なし 号: 3 ページ: 160887-160887
10.1098/rsos.160887
表面技術
巻: 68(4) ページ: 178-180
130006602026
表面科学
巻: 37(5) ページ: 202-206
Proceedings of The Royal Society B
巻: 282巻1802号 号: 1802 ページ: 20142857-20142857
10.1098/rspb.2014.2857
JEOL News
巻: 50(1) ページ: 1-10
巻: 36(4) ページ: 201-206
130005065849
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG02H5O_V00C17A3TJM000/