公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ヒトや動物が歩行や直立などの全身運動を行うとき、複数の関節や筋を協調して動かす協調関係(シナジー) が見られる。シナジーは脳卒中及び小脳疾患によってそれぞれ特徴的に変化することが知られており、疾患に伴うシナジー変化の特徴と神経・制御系のメカニズムの関係を明らかにすることで、シナジーを指標とする効果的なリハビリテーションの構築に結びつく知見が得られると期待できる。本年度は（１）小脳系に障害を持つラットの運動及び制御機能の評価による機能障害メカニズムの解明（２）無痛無汗症患者の歩行解析（３）脳卒中患者の運動解析により、シナジーを介したリハビリテーション手法の構築に向けた研究を行った。それぞれの研究について、以下の研究成果を得た。（１）ラットの運動学シナジーと姿勢制御系の定量評価：下オリーブ核に障害を持つラットの姿勢制御動作を計測し、運動学シナジーと周波数の特徴を健常ラットと比較したところ、シナジーには変化が見られず、低周波の周波数ピークが低下するように変化した。力学解析によって、この変化が制御系ではなく筋への入力過程で影響を与えていることを示した。また、ラットの小脳に脳梗塞を生じる実験系を構築し、疾患及び回復の過程で運動学シナジーに変化が生じることを定量的に示した。（２）無痛無汗症患者の筋シナジーの解析：先天的に痛覚を持たない無痛無汗症患者の歩行中の筋活動の解析を行ったところ、筋シナジーは筋活動の延長とピークタイミングの変化という2 つの点で健常者と異なり、接地タイミングの情報を音によって外部から提示することで、接地時床圧力が低い安全な歩行に誘導できることを示した。（３）筋シナジーによる脳卒中患者の運動評価：脳卒中患者のFMA 中の筋シナジーを評価することで、被験者間の筋シナジーの変化がFMA のスコアと同様の変化を生じることを示し、シナジー解析の治療評価への有効性を示した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (17件) (うち国際共著 1件、 査読あり 17件、 謝辞記載あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 19件) 図書 (1件)
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