公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では人間がマルチモーダルな感覚運動情報から,その骨格構造としての多リンク系表現に基づく脳内身体表現の状態空間モデルを構築する計算論を構成的に明らかにすることを目指した.この実現のためにベイズ潜在木構造生成過程に基づく脳内身体表現の確率モデルを研究した.脳内身体表現は,視覚,触覚,力覚等のマルチモーダルな感覚運動情報から形成される.本研究では,身体骨格構造のスローダイナミクスを表現する潜在的な確率過程として木構造生成過程を仮定し,感覚運動情報を潜在的な木構造からの観測情報として表現し,状態空間モデルの形成過程をモデル化した.具体的には潜在的な木構造生成過程をもったクラスタリング手法であるDPGMM-LJ(Dirichlet Process Gaussian Mixture Model with Linked Joints)を既存のクラスタリング手法であるDPGMMを拡張することで提案し,この有効性検証を行った.多リンク系の表面に配置された触覚センサから得られる時系列情報を観測とし,それらを低次元表現した身体マップを形成し,これにDPGMM-LJを適用することで,多リンク系の木構造が推論可能であることを示した.また,各関節が完全に独立に動作した場合には推定結果は低下し,一定の依存性を持った時に推定結果が改善されることから,身体骨格構造推論と身体部位の協調構造との関係性を示唆することが出来た.また,このモデルに基き,身体部位が損傷した際の動態に関する分析を行った.これにより,身体構造を学習ベースで推定する工学的モデルを新たに開発することが出来たとともに,脳内身体表現のスローダイナミクスに関して示唆を与える事ができた.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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