公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究の目的は、パキスタンにおいて独自の教員・家計調査を実施し、政治家と教員がパトロン・クライアント関係にあり、それが選挙に影響を与えるために教育改革が進まないとの仮説を実証することである。この目的を達成するため、平成29年度は、前年度に実施した教員・家計調査のフォローアップ調査を実施するとともに、本調査・フォローアップ調査で収集したデータをもとに、実証分析・論文執筆、学会発表を行った。平成29年度フォローアップ調査で新たに分かったことは以下の2点である。(1)教員の縁故採用について。採用プロセスがコンピュータ化される2012年以前は縁故採用の余地があったため、本家計調査のなかの教員は縁故採用のものもいると思われる。コンピュータ化以前は、州議会や連邦議会の議員がクォータを有し、候補者のリストを県に提出していたこともあった。この場合、リストに載っているものが教員採用に優先された。県の採用担当者に圧力がかかっていた以上、総選挙と教員採用との関係は強いと思われる。(2)政治権力とつながりがあることの教員のメリットは何か。教員3年目以降は配置について希望が出せ、希望どおりの配置であれば、以降の異動はほとんどないため、異動に関するメリットではないだろう。メリットは、悪い報告が県や郡の役人に上がらないことが考えられる。村にはCommunity Development Boardがあり、制度上は教員の欠勤等について報告することになっているが、Boardのメンバーは教員輩出家計を含む村の有力者たちで構成されており、悪い報告が上がりにくい。実証分析の結果分かったことは、村の人々の投票行動はインフォーマル・ネットワークに強く依存し、教員輩出家計が投票行動に何らかの影響を及ぼすことである。インフォーマル・ネットワークのメリットは、クレジットや無償労働力の供与である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
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巻: -
Review of Economics of the Household
巻: - 号: 1 ページ: 287-321
10.1007/s11150-017-9377-x
Developing Economies