公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本年度は、昨年度の導入を行った分析超遠心器を相補的に用いたクリスタリンの動的構造の研究への展開した。溶液小角散乱法では散乱強度は分子量の2乗に比例するため、高分子量のタンパク質複合体中(多量体)と低分子量の単量体の多分散系(混合系)では後者を直接観測することは困難であり、分子量が離れている場合はほとんど不可能である。一方、分析超遠心法では、沈降速度で分子量分布を測定するので、多分散系に含まれる単量体の分析も可能となる。年度前半は分析超遠心法の初期トラブルの解決・最適な測定条件の探索・解析法の確立などを行い、後半はαクリスタリン系における分子量分布=多分散性の測定を行った。現在注目しているαクリスタリンの系では20-30量体の多量体が主成分であるが、一方、無変性質量分析により単量体が存在していることが示唆されている。そこで、この単量体がαクリスタリン系での多量体間のサブユニット交換を担っていると推察した。今回、分析超遠心法を用いた測定によってもαBクリスタリン系において多量体に加えて単量体が存在することが確認し、その重量分率は5%であることを明らかにした。加えて、濃度を変えた系において、中性子小角散乱法による交換の時定数測定、動的光散乱法による拡散定数の測定を行い、サブユニット交換は多量体同士の衝突によるものではなく解離した単量体を経た現象であることが証明した。また、αAクリスタリン系においては多量体に加えて単量体が存在することが確認した。本研究を通して、複合タンパク質系の静的・動的構造解析X線・中性子溶液散乱法、無変性質量分析法、超遠心分析法、動的光散乱法などの手法を協奏的に用いる手法を確立することができた。また、タンパク質の動的な構造研究については中性子スピンエコー法を用いたも手法への展開も行った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 6件、 招待講演 5件)
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