公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究ではロタ、サポ、ノロウイルスなどの無エンベロープウイルスが、どのような動的秩序に従って一定のウイルスゲノムを正確に格納し、同一のウイルス粒子を形成して行くのかを、最先端の電子顕微鏡技術を用いた構造解析から明らかにする。そして、生体分子における新しい自己組織化のモデルを見出す。1)細胞内で形成されるロタウイルスの電子線トモグラフィー構造解析を行い、各形成段階における粒子の構造を明らかにした。まず、ウイルス形成初期において本ウイルスが持つ11本のRNAセグメントの構造が維持されていることがわかった。次に、ウイルスゲノムを覆うキャプシドは細胞質の異なる場所で3段階の過程を経て最終的に形成されることがわかった。2)サポおよびマウスノロウイルス粒子の高分解能低温電子顕微鏡像を撮影し、単粒子解析によってキャプシドの原子構造を決定した。また、その他の同属のウイルスとの構造比較、遺伝子型が異なる粒子との構造比較を行い、無エンベロープウイルスの動的秩序を明らかにした。サポおよびマウスノロウイルスのキャプシド(殻)は、内側(Sドメイン)がウイルスゲノムを保護するために強靭な構造を形成し、外側の突出した領域(Pドメイン)では、わずかな遺伝子変異で多様な感染性を生むことのできる柔軟な構造を形成していた。また、SドメインとPドメインのそれぞれは、互いに隣接分子と相互作用することで安定なウイルス粒子構造を維持していた。そして、その相互作用部位を変化させることによって、容易に構造を大きく変えられるということもわかった。以上の結果から、ウイルス粒子形成における自己組織化の新たなモデルが構築できるとともに、その知見を疫学や創薬に応用できればと考えている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 6件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (4件)
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