配分額 *注記 |
6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2017年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2016年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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研究実績の概要 |
本研究では,光励起によって生成する不安定分子種や短寿命過渡分子種を対象にした高感度・超高速赤外円偏光二色性(VCD)分光システムの開発を行い,そのような分子種の絶対配置の解析および追跡を目的とする.また,領域内共同研究も推進する. 平成29年度には,主に以下の4つの研究を行った. (1) フェムト秒時間分解赤外マルチチャンネル分光システムの製作と応用:フェムト秒時間分解赤外マルチチャンネル分光システムを製作し,高速フォトクロミック分子や柔軟性と剛直性を併せもつアントラセン二量体系分子の光励起ダイナミクスを明らかにした.また,原子価異性を示す[CrCo]複核錯体の配位子金属間電荷移動バンドを光励起した際の光応答を追跡し,超高速光誘起分極スイッチングを実証した(領域内共同研究). (2) 固体試料のVCD測定:固体試料でVCD測定を行うことができれば,例えば真空極低温下で準安定状態の捕捉ができるなど,測定対象となる化学種の幅が広がる.本研究では,軸不斉をもつ1,1'-ビ-2-ナフトール(BINOL)や螺旋不斉をもつヘリセン誘導体(領域内共同研究)について,KBr錠剤でのVCD測定の正確性を検証した. (3) ラマン光学活性(ROA)分光の応用:ROA分光と量子化学計算を組み合わせることで,BINOLを初めとする6つの1,1'-ビナフチル誘導体の絶対配置の識別と溶液中の二面角(ビナフチル骨格間)の決定を行った. (4) ベンゼン二量体型ラジカルカチオンの非局在電子を伴う大振幅振動の選択的観測:ベンゼン二量体のモデル分子[34](1,2,4,5)シクロファンのラジカルカチオンについて,近赤外光励起共鳴ラマン分光を行い,2つのベンゼン環に非局在化した電子と強く相互作用する低振動数領域の分子内大振幅振動の選択的観測と解析を行った.
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