公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では,グラフェンを六方晶窒化ホウ素(h-BN)で挟み込むことで高移動度化を実現し,そこで発現する新しい量子伝導現象を観測することを目的として研究を行った。その結果、低温での移動度がおよそ100000 cm2/Vsにまで達することができ,準バリスティック領域における伝導現象の議論が可能となった。この領域でも低磁場では量子伝導度ゆらぎが観測され,そのゆらぎの特徴について解析を進めた。グラフェンにおける伝導度ゆらぎの特徴として、ゲート電圧掃引に対するゆらぎと、印加磁場掃引に対するゆらぎの振幅が異なるといったエルゴード性の破れが指摘されてきたが、本研究で得られた準バリスティック系での伝導度ゆらぎにおいても同様の違いが観測され、これがグラフェンに普遍的な特徴であることが実証された。また、0.5T以上の磁場範囲においては明瞭なシュブニコフ-ド・ハース振動が観測され、その解析からh-BNを用いた試料における有効質量や緩和時間の議論を行った。また,電界閉じ込め型の量子ポイントコンタクト(QPC)の実現をめざした。2層グラフェン(BLGr)を上下のh-BNで挟み込み, Si基板によるバックゲートと,スプリット型のトップゲートとの間に逆極性の電圧を印加することで,垂直電界印加によるトップゲート直下のBLGrの絶縁化を試みた。ゲート長が5μmのトップゲートを用いた場合,12Kにてトップゲートに-12.5 V,バックゲートに110 Vの印加によって1 MΩ以上の抵抗値の観測に成功し,垂直電場印加による絶縁化を実証した。しかし,ゲート長200nmのスプリットゲートを用いた場合は,どれも残念ながらQPC構造に起因した伝導現象が確認できなかった。原因としては,積層構造の作製の際に混入するバブルの存在によるゲート絶縁層の不均一性に起因すると考えられ,その問題の排除が今後の課題として挙げられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 印刷中
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