公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
申請者ら独自の原子・分子クラスターの研究手法で、分子雲、原始惑星系円盤における有機分子の生成・化学進化の過程と反応機構の解明を目的に実験を行った。昨年度までに、宇宙空間に存在する鉱物イオン・ラジカル種のモデルとなる気相の珪酸塩クラスター負イオン(MglSinOm-)およびシリカクラスター負イオン(SinOm-)と水や一酸化炭素分子との反応を観測し、反応サイトや反応機構を見出した。本年度は、鉱物に含まれる他、微粒子、クラスターとして存在する鉄、コバルト、ニッケルの触媒作用に着目し、一酸化炭素、水分子や水素分子の吸着に引き続く有機分子生成反応を探究するとともに、その反応機構の解明を目指した。コバルトクラスター正イオンと水素分子との反応では、クラスターへの水素分子の吸着が観測され、クラスターの構成原子数(サイズ)に応じて反応速度が変化した。この結果は過去の報告と一致する。このとき、一酸化炭素分子との共給着により、水素分子吸着の反応速度が大幅に増加し、反応が促進されることを見出した。これは、クラスター上のSOMOの電子密度が増加したことに起因すると推察される。さらに、この反応によりクラスター上で生成した分子種を同定するため、アルゴンとの衝突誘起解離実験を行った。その結果、クラスター上で一酸化炭素と水素とが反応し、有機分子が生成したことを示唆するデータが得られた。以上のように、原子・分子クラスターの研究手法を惑星科学に応用し、宇宙での分子進化過程の解明に貢献する成果が得られた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Topics in catalysis
巻: 61 号: 1-2 ページ: 119-125
10.1007/s11244-017-0869-y
Physical Chemistry Chemical Physics
巻: in press 号: 20 ページ: 13972-13982
10.1039/c8cp00424b
Journal of Physical Chemistry A
巻: 121 号: 20 ページ: 10790-10795
10.1021/acs.jpcc.6b11689
巻: 120 号: 1 ページ: 139-144
10.1021/acs.jpca.5b08900
http://www.scc.kyushu-u.ac.jp/quantum/index_j.php
http://www.scc.kyushu-u.ac.jp/quantum/members/Arakawa/index.html