公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究課題では、生合成の効率性や化学選択性さらには環境調和性に着目し、生体触媒を模倣する鉄フタロシアニンを用いた高活性酸素酸化触媒の開発とその応用に取り組んでいる。本年度は、昨年度確立した鉄フタロシアニンを用いたアミンの酸素酸化反応を、硫黄原子や酸素原子などの他のヘテロ原子を有する化合物に適用した。ジチオアセタール、特に1,3-ジチアンはアシルアニオン等価体として、有機合成化学上有用な合成素子として広く用いられている。しかし、ジチオアセタールからカルボニル基へ変換する際、既存の手法では重金属あるいは化学量論量以上の酸化剤を必要とし、環境調和性や官能基共存性の面で課題を抱えている。このような背景のもと、酸素をバルク酸化剤とする鉄フタロシアニン錯体を用いた新たな触媒的ジチオアセタール脱保護法の開発に成功した。本反応は、ジチオアセタールにおける、初の酸素酸化的脱保護法である。また、既存の手法で共存が困難なアルケン、アミノ基などの官能基を有する基質においても、化学選択的にジチオアセタールの脱保護が進行するなど、有用な反応と言える。次に、鉄フタロシアニンを用いた酸素酸化反応を、カテコール部を有するエチルアミンに適用し、カテコールの酸化を介するインドリン合成法を新たに開発した。以上、独自に開発した鉄フタロシアニンによる酸素酸化反応が窒素原子の酸化にとどまらず、様々なヘテロ原子の酸化に有効であることを見出した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 3件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (68件) (うち国際学会 17件、 招待講演 11件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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