公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
我々は電気的化学的酸化・還元に対する可逆性を有し、温度耐性にも優れた有機ジカチオン種を生成させる方法を見出してきた。バッチ反応系おいてこの有機ジカチオンは高い触媒活性をもち、また、レドックス応答型の触媒としても用いることができる。本新領域研究では、この有機ジカチオン種化学をマイクロフロー系へと展開させることにより、触媒反応の開始と停止を触媒量の電気化学的なレドックスフロー系で実現できれば、後続反応に影響を与えることのない効率的な集積型反応フローシステムを構築できるのではないかと考え研究を推進した。本年度は、前年度までに新規に設計・外注した電解用マイクロリアクターを用いて向山アルドール反応を行った。中性分子である有機ジカチオン前駆体とアルデヒド、エノールシリルエーテルの混合溶液を少量の電気量で陽極酸化することにより、フロー系内で有機ジカチオン種を発生させることにより(触媒の活性化)反応をスタートさせ、短いチューブ内で反応完結後、この溶液を陰極側へと導くことにより有機ジカチオン種を還元し中性分子に戻す(触媒の不活性化)ことで反応を停止させた。反応は非常に効率よく進行した。現在このフロー系を用いた後続反応について検討を行っている。また、別の反応として、少量の電気量で開始されるシアノメチル化反応を取り上げ、研究を行った。アセトニトリル中、様々な芳香族アルデヒド誘導体を触媒量の電気量で電解還元することで、対応するシアノメチル化体が得られるという非常にシンプルな反応系を見出した。これも反応集積化に適した反応と言える。現時点では一部脱水反応もあわせておこり、収率も中程度であるが、反応剤を使う必要がないため、容易に後続反応へつなげることができるという意味で、非常に興味深い反応系である。現在、フロー系への展開を行っている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 1件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件)
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