公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
低分子量G蛋白質Rabは真核生物に普遍的に保存された膜(小胞)輸送の制御因子で、哺乳動物では約60種類の異なるRab分子が存在し、様々なタイプの膜輸送を制御している。ダイナミックな膜動態を伴うオートファジー(自食)も例外ではなく、近年複数のRab分子やそれらの制御因子のオートファジーへの関与が報告されている。しかし、Rabの種類数が非常に多いこともあり、Rabによるオートファジー制御の仕組みは未だ不明な点が多い。当研究室ではこれまで、哺乳動物に存在する全てのRabをシステマティックに解析可能なツール(Rabパネル)を駆使して、Rabによるオートファジーのダイナミックな膜動態の制御機構の解明に取り組んで来た。本研究課題では、栄養状態に依存したオートファゴソームとリソソームの融合過程、すなわちオートファゴソームの成熟過程に関与する新規Rab分子に焦点を当て、その分子機構の解明に取り組んだ。本年度は、樹立したRab7のノックアウト(KO)細胞株の機能解析を行い、哺乳動物においては、Rab7は当初考えられていたようにオートファゴソームとリソソームの融合には必須ではなく、Rab7-KO細胞ではオートファゴソームではなくオートリソソーム(オートファゴソームとリソソームが融合したハイブリッドオルガネラ)が蓄積するという意外な事実を明らかにした。また、興味深いことに、栄養条件下で蓄積していたオートリソソームはアミノ酸飢餓特異的に、転写・翻訳を介さずに短時間で分解・消失することも明らかとなった。このアミノ酸飢餓特異的なオートリソソームの分解は野生型の細胞や他の細胞種でも見られたことから、普遍的な機構と考えられ、栄養飢餓はオートファゴソームの形成誘導だけでなくその成熟過程も促進することが示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 備考 (2件)
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