公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、オートファジーが、どのように成体型造血幹細胞の成立に寄与するのか、また、関連した研究として、腫瘍幹細胞におけるオートファジーの意義を明らかにすることを目標とした。本年度は、オートファジーと深く関与するmTOR複合体1 (mTORC1)の生体内での造血幹細胞の自己複製能の役割を明らかにするため、Rheb変異マウス(Rheb f/f CreER)の骨髄細胞を放射線照射マウスに移植し、骨髄再構築が完了した後に、タモキシフェンを投与し、野生型造血細胞との競合状態を評価した。その結果、Rheb欠損による明確な造血幹細胞異常は認められないことが判明した。さらに、マウスに低線量のX線を照射しても、その結果には影響をしていなかった。したがって、定常状態および傷害ストレス下においてもRheb依存的な幹細胞の異常は認められなかった。一方、Raptor欠損に関しては顕著な造血幹細胞の現象が認められることから、mTORC1自体は造血幹細胞の自己複製に必須であるが、PI3K-AKT以外の上流の重要性が示唆された。また、オートファジーの活性化による造血幹細胞保護作用の可能性が示された。以上のように、本研究成果は、オートファジーの役割を明確にするための意義ある情報となった。また、脳腫瘍幹細胞において、ATG5遺伝子を破壊し、未分化性に関する指標を解析した結果、オートファジー不全状態は、通常状態では何ら影響を及ぼさないものの、ミトコンドリア傷害性の抗がん剤に対する感受性の亢進に寄与することが判明した。本成果により、将来、臨床的に有用な治療法の開発に寄与する可能性が示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件、 招待講演 7件) 図書 (1件)
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