公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
脂肪細胞株である3T3-L1細胞を分化させてパルミチン酸を投与した際のオートファジーの変化を検討した。リソソーム阻害薬Bafilomycinを用いてオートファジーフラックスを測定すると、パルミチン酸の投与濃度依存的にオートファジーフラックスの上昇を認めた。続いて、脂肪細胞のオートファジーと脂肪分解との関連性を検討するため、脂肪分解作用のあるイソプロテレノール投与時の3T3-L1細胞のオートファジーの変化を検討したところ、オートファジーフラックスの亢進が見られ、交感神経刺激性脂肪分解にオートファジーが関与する事が示唆された。そこで野生型マウスの皮下脂肪を採取してex vivoでの脂肪分解を検討したところ、イソプロテレノール刺激による脂肪分解亢進作用は、オートファジー抑制薬クロロキン投与により抑制された。以上より、脂肪細胞は脂肪酸負荷時にオートファジーが亢進し、これは交感神経刺激性の脂肪分解に関わることが示唆された。続いて前年度に作成した成熟脂肪細胞特異的Atg7欠損マウスに対し高脂肪食を摂取させたところ、同腹仔のコントロールと比較して皮下脂肪の肥大を認めた。組織学的に細胞あたりの脂肪含有量が増加していたが、皮下脂肪組織における脂質合成系遺伝子発現亢進は見られず、前述のin vitroおよびex vivo実験の結果から、皮下脂肪分解抑制が皮下脂肪肥大の原因であることが示唆された。本マウスの肝病態につき検討したところ、肝重量の低下、肝細胞内脂肪滴量の減少、肝内中性脂肪量の減少、血清ALT値の改善を認め、肝脂肪蓄積と肝障害は改善していた。以上より、脂肪組織のオートファジーを抑制することにより、脂肪組織の脂肪分解が低下し、肝病態が改善することが示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Hepatology
巻: 64 号: 6 ページ: 1994-2014
10.1002/hep.28820
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2016/20160913_1