配分額 *注記 |
10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2017年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2016年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
|
研究実績の概要 |
動物の黄体ホルモンであるプロゲステロンが,シロイヌナズナ,イネ,トマト,エンドウなどの高等植物に存在し,植物の細胞分裂,胚成長,花粉管伸長などに関与していること,またにヒト型プロゲステロン受容体が存在することが報告されている (Iino et al, Phytochemistry, 2009)。このことはプロゲステロンが動植物界を超えて生理作用を制御する化合物であることを示唆している。また近年,我々は,プロゲステロンがゼニゴケやシダ類 などにも存在することを明らかにした (unpublished data)。トウモロコシ野生株の茎頂端には雄花が形成されるが,突然変異株tasselseed2 (ts2) の茎頂端には雌花が形成される。ts2変異株における性分化異常の分子メカニズムは長年謎のままであった。 TS2酵素は,短鎖型脱水素酵素/還元酵素ファミリーの一つであり,その中でもヒドロキシステロイド脱水素酵素ファミリー (HSD) に分類される。シロイヌナズナにおいてHSDは少なくとも6分子種 (At3g29250, At3g29260, At2g47120, At2g47130, At2g47140, A3g51680) が存在しており,その酵素機能は未解明のままであった。そこで,我々は大腸菌を用いて6分子種の異種発現酵素を調製し,様々な水酸化ステロイド化合物を基質としてその酵素活性を調べた結果,すべての異種発現酵素が基質とした水酸化ステロイドを代謝した。また各HSD遺伝子の突然変異株におけるプロゲステロン内生量を分析した結果,野生株におけるプロゲステロン内生量と変化しなかった。このことから,これらHSD酵素の全てまたは幾つかは,植物体内において生化学的役割を相補していることが示唆された。
|