公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
平成29年度の研究実施計画は、1.これまでに得られた母性局在因子Popk-1およびZf-1の機能に関わる結果について、データの再現性確認と試行回数増加を行い、論文を作成する。2.生殖細胞関連遺伝子の胚性遺伝子発現後も生殖細胞系列で体細胞遺伝子の発現が抑制される仕組みを、エピジェネティック制御に着目して解析する。3.マボヤとユウレイボヤでのPemの機能の比較、ワカレオタマボヤ胚における生殖細胞系列の転写状態の記載を行う。このうち、ユウレイボヤPemに対するMOの効果が認められなかったため、機能の比較をすることが叶わなかったが、以下のことを達成することができた。まず、Popk-1とZf-1の機能を確認することができ、現在リバイス投稿中である。また、エピジェネティック制御については、生殖細胞系列において胚性遺伝子発現開始直前から、H3K27me3のレベルが上昇することを見出した。この時期、生殖細胞系列ではH3K4me3のレベルも高く、このような抑制と活性マーカーが同在するPoised chromatin状態が生殖細胞系列と体細胞系列の分離に関わる可能性が示唆された。実際、まだプレリミナリーではあるが、H3K27me3の阻害剤処理胚において、生殖細胞系列で筋肉分化マーカーのアクチンが異所的に発現することを見出した。さらに、ワカレオタマボヤ胚の各ステージのRNAポリメラーゼIIのリン酸化状態の観察により、生殖細胞系列が完全に生殖細胞のみを作るようになる32細胞期で、転写抑制を示唆するリン酸化の消失が観察されたが、それ以前の生殖細胞系列ではリン酸化が検出された。したがって、実際の遺伝子発現を確かめるためにRNA-seqの情報(大阪大学小沼健助教)を基にして、in situ hybridizationによる卵割期の網羅的な遺伝子発現の解析を開始した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/asamushi/kumano_lab/