公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
生殖細胞は配偶子へと一方向に分化する単能性の細胞であるが、潜在的に多能性を保持していると考えられている。その傍証として 、マウス始原生殖細胞が精細管内で初期胚様細胞へと転換して分化多能性の精巣性テラトーマを生じること、また、始原生殖細胞を特 定の条件下で培養すると分化多能性のEG細胞を生じることなどが知られている。これらの現象は生殖細胞が保持する潜在的な分化多能 性が顕在化した結果であり、このような多能性は配偶子形成過程においては抑制されていると考えられ。しかしながら、その制御機構 については未だに不明である。本研究は、RNA結合タンパク質Dead end1(DND1)を移動期の始原生殖細胞で欠損させると分化多能性の 精巣性テラトーマを発症することから、DND1の機能を解析することで、始原生殖細胞が多能性を保持しつつも発現させることなく配偶子へと分化する機構の解明を目指した。平成29年度においては、同定したDND1結合タンパク質との結合様式を解析し、DND1の特定のアミノ酸がその結合に重要であることを発見した。今後は、そのアミノ酸に変異を入れたマウスを作製して表現型を解析することによって、DND1との結合の生理的な意義とテラトーマ発症における機能を解析できると考えられる。一方で、平成28年度の解析において同定したDND1欠損始原生殖細胞におけるトランスクリプトームの変動に着目した研究も行った。この解析により、DND1が欠損した際に変動する特定の遺伝子群を明らかにした。今後は、これらの遺伝子を始原生殖細胞内で欠損、または強制発現させたのちにEG細胞を樹立し、その転換効率を解析することによって、DND1が分化多能性を維持するメカニズムの解析を行うことができると考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Nature Communication.
巻: 8 号: 1 ページ: 15662-15662
10.1038/ncomms15662
EMBO Rep.
巻: 17(1) 号: 1 ページ: 37-46
10.15252/embr.201540828