公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、二型精子(有核精子と無核精子)という特徴的な配偶子産生制御を行うカイコを材料に、世界に先駆けて申請者がカイコにおいて発見した二型精子形成における性決定遺伝子Sex-lethal(Sxl)の新規機能の解析に焦点を絞り、配偶子産生の制御機構の分子基盤を解明する。申請者のこれまでの研究により、カイコ(Bombyx mori)のSxl(Bm-Sxl)遺伝子について、TALENを用いて変異体を作出したところ、Bm-SxlのRNA結合ドメイン内に変異が導入された系統のホモ接合体のオスにおいてのみ、不妊となることが判明した。この不妊の原因は、無核精子形成の異常である可能性が示唆された。そこで、不妊の原因が無核精子にあることを検証するため、正常な無核精子を用いたレスキュー実験を行うこととした。カイコの三倍体のオスでは、有核精子が受精能力を喪失するものの、正常な無核精子は形成されることが知られている。この三倍体の無核精子を用いてBm-Sxl変異体のレスキュー実験を行った。コントロールとして、正常なメスに対して三倍体のオスを単独で交尾させた場合、およびBm-Sxl変異体のオスを単独で交尾させた場合は、いずれも受精はほとんど認められなかった。これに対し、まず初めに正常なメスに対して三倍体のオスを交尾させ、続いてBm-Sxl変異体のオスを交尾させた二重交尾実験では、非常に高い受精率が得られた。以上の結果より、Bm-Sxl変異体のオスの不妊の原因は無核精子の異常にあることが明らかとなった。現在、本研究成果を論文として纏める準備を進めている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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