公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
分化刺激により活性化された成熟B細胞は形質細胞へ分化し、車軸状核と呼ばれる特徴的なヘテロクロマチン構造を呈する。一般的に、ヘテロクロマチン構造は種々の細胞において遺伝子抑制と関連することが明らかとなっている。本研究では、形質細胞への分化に伴い特定の遺伝子領域がヘテロクロマチン化される分子機構に着目した。成熟B細胞が形質細胞へ分化するためには転写因子IRF4が必須であり、その分化過程でIRF4はZinc finger型転写因子Ikarosと新規同定DNA結合モチーフZinc finger-IRF composite elements(ZICEs)に結合し、B細胞活性化に関連する遺伝子群の発現を抑制する。そして、IRF4のZICEへの結合にはIkarosの存在が必須であり、Ikaros-IRF4はヘテロクロマチン関連因子群およびクロマチン制御因子PC4と複合体を形成することから、Ikaros-IRF4によるDNA配列依存的なヘテロクロマチン化機構を想定した。一方、B細胞特異的PC4遺伝子欠損マウスを作出しB細胞におけるPC4機能の重要性について検討したところ、同マウスでは成熟B細胞の数が減少し形質細胞への分化能が低下することを見出した。このことから、PC4は成熟B細胞と形質細胞分化の双方に重要であることが明らかとなった。さらに、ZICEを保持するIkaros-IRF4抑制標的遺伝子上へのPC4結合が認められたことから、形質細胞分化過程ではZICEを介した遺伝子領域の選択性が生じ、その後PC4によるヘテロクロマチン化が誘導されると予想された。これらの知見は、細胞分化過程において特定の遺伝子領域がヘテロクロマチン化される分子機構解明に貢献すると考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Blood advances
巻: Apr 24;2(8) 号: 8 ページ: 883-894
10.1182/bloodadvances.2017010413
Molecular and cellular biology
巻: 37 号: 24
10.1128/mcb.00418-17