公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
HP1による動的クロマチン構造変換の分子機構を解明するため、本年度は分裂酵母のSwi6に着目して研究を遂行した。昨年までの研究によって、Swi6がヒトのHP1と同様にM期特異的なリン酸化を受けることを明らかにした。そこで本年度は、M期特異的なリン酸化酵素として分裂酵母のAuroraキナーゼであるArk1に着目し、Ark1がSwi6をリン酸化するかどうか検討した。Swi6とArk1を大腸菌で共発現させ、Swi6のリン酸化状態を調べることで、Ark1がSwi6を効率よくリン酸化できることが分かった。次にSwi6をN末領域、クロモドメイン(CD)、ヒンジ領域、クロモシャドウドメイン(CSD)に分け、それぞれをArk1とともに大腸菌内で共発現させたところ、N末のドメインがArk1によってリン酸化されることが明らかになった。N末端領域の中で候補となるセリン残基に変異を導入して検討したところ、進化的に保存された2つのセリン残基がArk1の基質になっていることが明らかになった。実際に、全長のSwi6に同じ変異を導入して共発現系に供することで、全長のSwi6においても特定したセリン残基がArk1によってリン酸化されることを確認した。特定したセリン残基が、実際に分裂酵母の細胞内でM期特異的にリン酸化されているかを検討するため、候補となるセリン残基をアラニンに置換した変異Swi6を発現させ、細胞周期を同調してSwi6のリン酸化状態を調べた。その結果、Swi6のM期特異的なリン酸化が入らなくなったことから、これらのセリン残基が分裂酵母細胞内でリン酸化されていることが確認できた。変異Swi6を発現させた分裂酵母の表現型解析から、これらのセリン残基のリン酸化がサイレンシングの制御にも関係している可能性が示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
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