公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
分裂期における染色体構築は遺伝情報の維持と継承に不可欠なプロセスである。また、分裂期染色体は、ヌクレオソームを基本構造単位としたクロマチンの階層的な折りたたみの産物であるというモデルが広く受け入れられている。しかし、ヌクレオソームが染色体構築にどのような役割を果たすかについては、あまり理解が進んでいなかった。前年度までに、この問題を検討するために新しい無細胞系を確立した。具体的には、ヒストンの供給に不可欠なタンパク質Asf1を除去したカエル卵抽出液中でヒストンを含まないマウス精子核をインキュベートことにより、精子DNA上でのヌクレオソーム形成を完全に阻害した。驚くべきことに、この条件でも染色体とよく似た構造が構築された。この「ヌクレオソームを含まない」染色体は、明瞭な軸構造を持っているものの、その周囲のDNAループ領域は脆弱な構造をしていた。今年度は、ヌクレオソーム、コンデンシンI、コンデンシンⅡを様々な組合せで除去する実験によって、これらの三者の機能が密接に連関していることを論文として発表した。この実験結果は、前述のように、多くの教科書に見られる階層的折りたたみモデルの再検討を促すものでもあった。一方で、コンデンシンやヌクレオソームの詳細な作用機序やこれらの協調的な作用を詳細に理解するためには、カエル卵無細胞系よりも操作性にすぐれた実験系が必要になった。すでに、私は、コンデンシンやコアヒストンを含むわずか6種類のタンパク質を用いて、染色体とよく似た構造が再構成できることを見出している。そこで、この再構成系をさらに洗練させることによって、従来の研究では顧みられてこなかった問題(例えば、染色体周囲の物理化学的環境やヌクレオソームの動的性質が染色体構築プロセスに与える影響)について解析するための予備実験に着手した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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