公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
これまでの研究では、グリア活動が暴走する虚血状態での病態モデルを研究し、グリア作用を強力に惹起する細胞内pHに注目してきた。虚血時には、アストロサイトの酸性化が引き金となって、DIDS感受性陰イオンチャンネルが開き、グルタミン酸が放出される。本研究では、病態時だけでなく、健常時の学習・記憶過程でも、程度の差こそあれ、基本的に同じ原理のグリア作用が稼働するという仮説を検証した。まずは、グリア細胞のうち、アストロサイトの細胞内のpHが、神経活動に応じて刻々と変化し、学習課題中のアストロサイトの状態次第で、神経信号の増幅作用が亢進されたり、抑制されたりしている可能性を調べた。具体的には、生きているマウス脳内に光ファイバーを挿入して、アストロサイト細胞内イオン濃度を計測した。この研究を進めるにあたって、細胞質内に赤色pH蛍光センサー、細胞膜に緑色pH蛍光センサーを発現する遺伝子改変マウスを開発し、学習課題中のアストロサイトの活動を計測した。また、アストロサイトに発現させたArchT光刺激をすると、アストロサイトが本来持っている、神経信号増幅作用が抑制されると考えられる。したがって、もし、この刺激で学習成績が落ちるとすれば、生来のアストロサイトには神経信号増幅作用があって、それによって記憶が定着するという仮説が支持される。急性スライス標本を用いて検証したところ、小脳運動学習の成立に必須のmGluR1の活性化は、確かに、アストロサイトArchT光刺激によって減弱することが確認された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 9件、 招待講演 11件) 備考 (3件)
Brain Structure and Function
巻: 222 号: 8 ページ: 3375-3393
10.1007/s00429-017-1408-0
日本薬理学雑誌
巻: 148 ページ: 64-68
http://www.ims.med.tohoku.ac.jp/matsui/
http://www.ims.med.tohoku.ac.jp/optogenetics2017/
http://www.ims.med.tohoku.ac.jp/youngglia/