公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
神経回路形成因子LOTUSは中枢神経系の再生を阻む主要因であるNogo receptor-1(NgR1)とPaired immunoglobulin-like receptor B(PirB)と結合し、これらの受容体機能を抑制するアンタゴニスト活性を有する一方、LOTUSは神経細胞のみならずミエリン膜上にも発現し、培養基質として培養皿にコートしたLOTUSや培養液に添加したLOTUSは培養神経細胞の軸索伸長を著しく促進する。即ち、LOTUSは軸索伸長を促進する神経細胞とオリゴデンドロサイト間の相互作用分子として位置づけられ、本研究ではLOTUSを介した神経細胞とオリゴデンドロサイト間の相互関係の制御による神経回路成熟機構の解明を目的とした。H29年度では、(1) PirBリガンド分子とPirBとの結合に対するLOTUSの作用部位を検討した。LOTUSの各種ドメイン欠失変異体を作製してCOS7細胞株にPirBを強制発現させてLOTUS変異体との結合活性ついて検討したところ、LOTUSのECドメインとPirBが相互作用することが判明した。次に、(2)NgR1-KOマウスの後根神経節細胞において、上記のPirBリガンド分子・PirB相互作用により誘起される軸索伸長阻害に対するLOTUSの拮抗作用を検討したところ、Nogoによって抑制された神経突起伸長がLOTUSの強制発現および投与によってレスキューされ、Nogoの作用を抑制することが判明した。PirBとLOTUSの相互作用によるNogoに対する拮抗作用であることを検証するため、同様の実験系においてLOTUSとPirBの結合を阻害する機能阻害抗体を添加して解析したところ、LOTUSによるPirB拮抗作用が抑制された。このことから、LOTUSはPirBに対する拮抗作用を有することが検証された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
Neuroscience
巻: 356 ページ: 265-274
10.1016/j.neuroscience.2017.05.034