公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
電位依存性プロトンチャネルHv1は、膜の脱分極や細胞内外のpH差を感受して活性化し、細胞内からH+を排出することで細胞内pHや膜電位を調節する。Hv1は、アラキドン酸(AA)やアナンダミドなどの多価不飽和脂肪酸が直接結合することで活性が調節され、貪食細胞における異物の排除や精子鞭毛運動の活性化に寄与している。しかし、これらの脂質がHv1の活性を調節する分子機構は分かっていない。本研究では、脂質のアシル基とタンパク質との相互作用を直接観測できる溶液NMR法を用いることで、AAによるHv1の活性調節機構の原子レベルでの解明を試みた。N、C末端細胞内領域の一部を切除したマウスHv1を大腸菌で発現し、界面活性剤存在下で精製した。ゲルろ過と分子間架橋試薬により会合状態を調べた結果、精製したHv1は二量体であることが分かった。Hv1の機能構造は二量体であるが、二量体中の各サブユニットの相対配向は明らかでない。そこで、溶液NMR法による分子間NOE測定と部位特異的架橋実験により、サブユニット間の近接残基対を同定し、Hv1の二量体モデルを作成した。次に、AAとHv1の結合様式を等温滴定型カロリメトリー(ITC)により調べた。測定条件を最適化することで、AAの結合に伴う遅い発熱反応の検出に成功し、Hv1二量体に対して2分子のAAが約1 μMの解離定数で結合することが分かった。さらに、相互作用に関わるHv1とAAの原子対を決定するため、Hv1二量体に対して2等量のAAを添加した条件で溶液NMR法による分子間NOE測定を行った結果、AAはHv1の細胞外側の二量体界面に結合することが分かった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (25件) (うち国際学会 12件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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