公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
マイトファジーは、細胞内の唯一のミトコンドリア分解機構である。白色脂肪組織中の褐色脂肪“様”細胞(以下、ベージュ細胞)には、ミトコンドリアと熱産生に関わるミトコンドリア脱共役タンパク質が非常に多く存在し、重要な熱産生器官として働く。ベージュ細胞は、低温刺激により白色脂肪細胞から分化転換することで発生し、温暖環境へ順応する過程で白色脂肪細胞へ退行する。こうした白色脂肪組織で起こるベージュ細胞の増減は、重要な環境温度への順応機構であるが、この過程で必ずダイナミックなミトコンドリア量の増減を伴っている。ミトコンドリア量の増減は、ミトコンドリア生合成と分解のバランスで成り立つが、本研究では、ミトコンドリア分解、即ちマイトファジーを研究し、このミトコンドリア量の変化のメカニズムと意義の解明を試みることを目的に実験を行い、以下の実験成果を得ることができた。マイトファジー観察用に蛍光タンパク質を発現させたマウスを樹立しており、このマウスを用いて飼育環境を温暖環境→低温環境→温暖環境と変化させた時、脂肪組織を観察し、低温環境では白色脂肪細胞内のミトコンドリアが急激に増加しベージュ細胞様になること、低温環境から温暖環境に戻すとマイトファジーが誘導され、徐々にミトコンドリア量が減少し白色脂肪細胞に戻っていくことを観察することを成功した。さらに、マイトファジー観察用マウスの鼠径部白色脂肪組織から単離した白色脂肪細胞前駆細胞を脂肪細胞へと分化させる実験系を確立し、この実験系で環境温度応答と同等の誘導刺激を与えたところ、個体で認められた結果と同様にマイトファジーが誘導されることを明らかにすることができた。こうした結果から、低温環境でベージュ細胞化した白色脂肪細胞が、温暖環境下で白色脂肪細胞となるときにはマイトファジーが誘導され、ミトコンドリア量の調節が行われていると結論付けた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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