公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
カイコの休眠誘導における環境温度の応答システムの解明を目指して、TRP チャネルによる環境温度の受容から約1ヶ月間にわたる温度情報の記憶・保存と統合に関わる分子ネットワークについて、分子から細胞・神経回路レベル、さらには個体レベルで次の3つのサブテーマ [A] ~ [C] の解析を行なった。[A] 環境情報の受容に関わる分子ネットワークの解析、[B] 環境情報の記憶・保存と統合処理に関わる分子ネットワークの解析、[C] 休眠ホルモン (DH) の放出制御に関わる分子・神経ネットワークの解析。その結果、[A] では、RNA-seq. 解析により、胚期の温度条件の違いにより発現量の異なる時計関連遺伝子を同定した。この遺伝子のノックアウト (KO) 系統を作出し、胚期の温度条件および光周期の違いによる休眠性を調査した。また、BmTRPA1 の KO 系統における発現量を調査した。[B]・[C] では、蛹期の脳において、休眠性により発現量が異なる遺伝子群を新たに同定した。これらの遺伝子の発現を BmTRPA1 の KO 系統において調査した。さらに、これらの遺伝子の KO 系統を作出し、次世代卵の休眠性に与える影響を調査するとともに、AcNPV 遺伝子導入法などを利用し、遺伝子発現調節機構を解析した。これらの解析から、カイコの次世代卵の休眠性は、胚期において、BmTRPA1 によって温度情報を受容した後、その情報は時計遺伝子産物を介して、蛹期に脳可塑性が生じ、DH 放出制御が行われる可能性が示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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