公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
肥満や過栄養の状態では、脂肪細胞からの熱産生が低下し、基礎代謝が下がることで、一層、肥満が助長されるという悪循環が生じることが知られている。肥満の成因は、食事で摂取したカロリー量だけではなく、個人個人の基礎代謝の高低も大きく影響している。基礎代謝には体内からの熱産生が大きく関与するが、その熱産生を担うUCP-1を有するのは、脂肪細胞の内、褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞である。今まで、肥満に伴って、脂肪細胞からの熱産生が低下するメカニズムは解明されていなかった。脂肪細胞からの熱産生を担うUCP-1の発現上昇は転写共役因子であるPRMD16が重要な役割を担っている。我々は、高脂肪食負荷等による過栄養状態の脂肪において、Pin1と名付けられたプロリン異性化酵素の発現が顕著に増加することを見出した。増加したPin1は細胞内の転写共役因子PRDM16に結合して分解を誘導することで、熱産生に関与するUCP-1の発現が抑えられることが明らかとなった。この機序によって、基礎代謝低下により、肥満や脂肪肝の憎悪が助長される。実際、Pin1遺伝子を脂肪細胞で特異的に欠損させたマウス(Pin1 KOマウス)は、通常食では体重に差を生じないが、高栄養の食事を与えても肥満や脂肪肝を発症しないことを見出した。また、Pin1 KOマウスは、4℃の低温下に24時間おいても、体温が低下しにくいことが判明した。本研究の成果により、過剰なPin1の機能を阻害し、基礎代謝の増加を導くことによって、肥満や糖尿病等の生活習慣病の改善に応用できる可能性が示唆された。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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