公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究課題では、乾燥ストレス応答に関わり、離れた組織をつなぐ移動性の情報伝達因子の同定とその機能解析を行った。特にアブシジン酸(ABA)合成酵素の発現を制御する低分子ペプチドをスクリーニングした。合成ペプチドを根から吸収させ、葉でのABA合成酵素NCED3の発現を解析した結果、いくつかのCLEペプチドがABA合成酵NCED3の発現を制御することを見いだした。また、このペプチドを根から吸収させると、葉でのABAの蓄積や、それに伴う気孔の閉鎖が誘導されることを明らかにした。また、プロモーターGUS法とin situ hybridization法を用いて、このペプチドは根や葉の維管束柔組織で発現していることを明らかにした。次に、CRISPR/Cas9法を用いてペプチドの遺伝子破壊変異体を作成し、乾燥ストレス条件下での様々な生理応答を解析した。その結果、ペプチド遺伝子破壊変異体では、乾燥ストレス条件下でのNCED3およびABAシグナルのマーカー遺伝子であるLEAやRD29B遺伝子の発現誘導が抑制されていることを明らかにした。さらにABA蓄積の抑制、気孔閉鎖の遅延などが観察され、最終的に乾燥ストレス耐性に弱い表現型を示すことを明らかにした。次にペプチドを葉で受容する受容体の探索を行った。様々な受容体多重変異体を作成し、乾燥ストレス誘導性を示すNCED3の発現を指標にスクリーニングを行った結果、BAM受容体の2重変異体では、NCED3の発現抑制およびABA蓄積量の低下がおこり、乾燥ストレス耐性に弱い表現型を示すことを明らかにした。さらに接木植物を作成し乾燥ストレスおよびペプチド吸収実験を行い、内在性のペプチドが乾燥ストレス依存的に根から地上部へ移動すること、BAM受容体は葉でペプチドを受容し、NCED3の発現、およびその後におこるABA蓄積、気孔の閉鎖を制御していることを明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 図書 (3件)
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