公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
共感性は他者への理解を深め、円滑な対人関係の形成の基礎となる一方で、他者の反応を自分の様子として考える自己思考的反応が、ネガティブ関係コーピングを誘発することで心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状を誘発することがある。そのため、共感性はネガティブな情動表出にも影響することが分かってきた。5-HTは情動ストレス調節に重要な役割を果たすと考えられ生後発達環境と5-HTの作用機序を検討することで負の共感性の機能解明の糸口が見いだせると考えた。本研究では、幼若期のストレスによって成熟期に情動機能障害を生じる幼若期ストレスモデルマウスならびに5-HT2C受容体ノックアウトマウスを用いて、共感性の変容に関わる脳神経機能について解明することを目的とし、以下の4つの結果を得た。1. 生後発達環境と5-HT関連分子が共感性に関与する可能性を見出した。幼若期ストレスマウスは観察恐怖により幼若期の負情動が想起(PTSD様症状)される可能性がある。また、成熟期の共感様行動には5-HT2C受容体が深く関与すると考えられる。2. 幼若期ストレスマウスは扁桃体錐体細胞の興奮性が高く、5-HT2C受容体KOマウスは右脳前帯状皮質錐体細胞の興奮性が高かった。3. 右脳前帯状皮質錐体細胞特異的に5-HT2C受容体をレスキューしたマウスは、観察恐怖反応性は低いままだったが、社会性行動を回復・増強した。錐体細胞の興奮性には変化がなかった。4. 共感様行動依存的に活性化する前帯状皮質錐体細胞を可視化することで共感様行動に直接的に関与または影響を受ける神経機能の解析を試みたが、共感様行動に依存しない活性化神経細胞との区別が難しかった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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