公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
研究プロジェクト全体の目的は,未来性に関わる課題遂行中の脳活動および自律神経活動の測定を通して,「心・脳・身体」という三者関係から,不安障害や抑うつ障害と関係の深い未来思考性について検討することである.これまでの研究では「心の未来性」のメカニズムにおける「心・脳・身体」のダイナミクスの理解を目指し,文章の刺激を用いてポジティブあるいはネガティブ方向への自動思考性を引き出すような状況を作り,未来思考性と過去思考性における処理をターゲットとして,脳波計を用いた検討を行った.そして,心拍誘導電位を指標とした実験結果から,脳活動が身体由来であることを突き止めることができた.本年度はその成果を受け,さらに潜在連想テスト(IAT)を用いた検討を行った.そして,未来思考の特異性を呈する不安障害傾向と,過去思考の特異性を呈するうつ病傾向の違いを,時間方向に依存した思考と概念形成という新しい枠組みで捉えることを試みた.その結果,一部の指標において,仮説を支持する結果が得られ,初年度の成果と整合する結論を導き出すことができた.また,うつや不安とは逆の軸として位置づけられる楽観主義傾向についても行動実験を実施し,楽観傾向の背後にある行動的メカニズムを明らかにすることができた.これらの総合的な成果は,心の時間的な側面に関する基礎的,かつ臨床的な意義を持っており,時間と思考方向性に関する実験的パラダイムの確立に結びつけることができた.これは,心理学的にも神経科学的にも重要な知見であり,さまざまな方向性に発展,展開できる可能性を持つ重要な成果であると判断する.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
Brain Research
巻: 1657 ページ: 215-222
10.1016/j.brainres.2016.12.010
BRAIN and NERVE
巻: 69 ページ: 355-365
日本作業療法士協会誌
巻: 69 ページ: 21-24
Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences
巻: 371 号: 1708 ページ: 20160005-20160005
10.1098/rstb.2016.0005