公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、オホーツク海をはじめとする北太平洋西部亜寒帯海域の「豊かな海の恵み」を生み出す仕組みの解明を目的として、栄養物質循環の数値モデリングを実施した。具体的には、(1)強い混合域で大きな鉛直拡散係数を与えるという従来型パラメタリゼーションを用いたモデルによる数値実験(以下、西部亜寒帯物質循環モデル)、(2)潮汐モデルを海洋海氷結合モデルに直接結合し、鉛直混合を起潮力から計算して物質循環を駆動するという、これまでにない北高解像度太平洋物質循環シミュレーションの開発を進めた。西部亜寒帯物質循環モデルでは、経年変動実験を行った。風応力、熱、淡水フラックスとしてERA-interimを用いモデルを駆動した。また、千島列島における潮汐混合は、18.6年の周期で20%強度を変動させた。期間は1979年‐2011年である。モデルは、道東沖・冬季のリン濃度の年年変動(周期が7年以下)を良好に再現した。千島列島から親潮域にかけて、潮汐混合に伴ってリン濃度の南北勾配が大きい。このため、地衡流(親潮の強さ)の変動がリン酸塩移流の変動となり、最終的に親潮域のリン濃度変動を引き起こしていることがわかった。この地衡流変動の要因は、風の年々変動により励起される北部北太平洋沿岸の沿岸捕捉波であることが判明した。また、高解像度北太平洋物質循環シミュレーションの開発を進め、亜寒帯循環の大部分はHigh Nutrient Low Chlorophyll(HNLC;高栄養塩にも関わらず生物生産が比較的低い)海域であることを再現した。一方で、親潮から北太平洋中央部にかけて帯状に高生産海域が現れることも再現した。このモデルを用いて潮汐の有り無し実験を行ったところ、潮汐が無い場合、オホーツク海の生物生産が大きく減少することがわかった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://wwwoc.lowtem.hokudai.ac.jp/